仲間りょう×小山ゆうじろう同い年対談

2.ツッコまないふたり

仲間
磯兵衛はダメなやつゆえに母性本能くすぐるのか40〜50代女性とかにもウケてるような気がします。けど子供に向けて描くのが一番気持ちいいし、子供にウケるキャラが最高だと思ってます。読切の時は磯兵衛を高校生くらいの設定で作ってたんです。けど年齢設定を決めないで、「小学生にとってもあるあるだし、中学生にとってもあるある」という”あるあるの集合体”にしてしまえば、より多くの人がわかってくれるかなと思って、連載版では磯兵衛の年齢は決めてないんですよ。その方が楽ですし。ほかにも『磯兵衛』は名前をつけてないキャラがたくさんいるんです。母上とか犬とか。それを具体的な名前にしちゃうと固定されすぎて嫌なんです。例えば母上に「よしこ」みたいな名前にあったらとてもやりずらい。
小山
宮藤官九郎さんが同じこと言ってた(笑)ディテールを凝るところと凝らないところを分けた方が面白く見えるって。
仲間
宮藤さんに並んだ(笑)…冗談です。
アゲ太郎ってストーリーが繋がってるじゃないですか。一度出したキャラが後からちゃんと絡んでくる。
小山
そうですね。もう一回出してあげたい感は強いし、だいたい長いシリーズをやってると今活躍してるキャラは飽きて描きたくなくなるから、昔出てきたキャラを登場させて代謝をはかるとか、飽きないための工夫なんですよね。
仲間
僕もです。最初の頃は新キャラばんばん出しちゃえと思ってたんだけど、読みかえしたら最近出てない奴がかわいそうになってきて(笑)宮本武蔵とかはあの初回の春画を買う話で退場するはずだったし。
小山
『磯兵衛』の世界観って江戸時代だけど時代感のないものがガンガン出てくるじゃないですか、漫画とかレンタル屋とか。『アゲ太郎』も一応現代の渋谷の設定なんだけど、アゲ太郎が109の上に座って本読んでたりとか、リアルとファンタジーのどっちにも振らないで中途半端にしておくのが好きなんです。
仲間
そこ僕は藤子・F・不二雄先生がSFのことを「すこし不思議」って言ってるのがヒントな気がします。あれって、「不思議な話を描く」ってことじゃなくて、「漫画の中の嘘」というか、いま小山先生が言ったこととかが「すこし不思議」ってことなんじゃないかな、と。漫画とか物語って脳内で読むところってあるじゃないですか。脳内で読むところで繋がってれば嘘でもいいと。
小山
所詮漫画ですしね、最終的には。たまに「こんなもの渋谷にねーよ」とか言う人いるんですけど、「いや漫画じゃん、そもそもリアルじゃねーじゃん」と思うんです。たぶん磯兵衛も時代考証とかツッコむ人いるでしょ?
仲間
磯兵衛の方では徳川15兄弟を出した時に、そういうツッコミはなくなりました。それまでは「江戸時代の中でもいつ頃の話なんだろう」ということがあったんだけど、「なーんだそういうことか」と。連載始める前は当時の担当が「江戸に限るとネタ切れするんじゃないか…」って不安がってたのを覚えてます。磯兵衛の連載ネームの時に既に徳川は15兄弟だというのは決まってたんで、僕の中では全然なんでもできる世界観だなと思ってたんですけどね。
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