アシナ

秘書のアシナです

ガラム

破鎧(はがい)のガラム・ガランだ

アシナ

突然ですけど、ガラムさんはどんな死に方がいいですか?

ガラム

…………

ガラム

……あン?

アシナ

あれ? ちょっと言葉不足だったかも……あわわ、そんな目で睨まないでください!

アシナ

昨日、魔法の石版で読んだんです。屈強な戦士の多くが、散り際の美学を持ち合わせてる、って

ガラム

恐ろしく退廃的なもんを読むんだな……

ガラム

だがまあ……そうだな。勇者如きに後れを取るとは思わんが……

ガラム

盾となり、仲間のために散る……そんな最後が戦士には相応しいのかもしれん

アシナ

架空の冒険記でもよく見ますもんね。仲間を守るために自爆魔法を使うシーン

ガラム

ああ。[ばくはつ岩]の連中がよくやるアレだ。もっとも、あいつらは発破作業でばかすか自爆させられてるがな

アシナ

お……お仕事で自爆って……

ガラム

火薬を使うより効率的なうえ、安上がりらしい

ガラム

あとは……やはり逝くときはなにかを残して逝きたいもんだ

アシナ

形見、とか?

ガラム

物とは限らんさ。敵に関する情報、敵の力を削ぐ一撃、残った者への手向けとなるなにかしらだよ

ガラム

お前はどうなんだ? 生き死になんぞそうそう意識せんだろうが

アシナ

う〜ん……熱いのは絶対にいやです。火あぶりとか。あと、財布にされたりするのも。皮を剥がれちゃうんですよ?

ガラム

生々しいな、おい

ガラム

しかし、さっきも言ったがこの話題は退廃的すぎるな。考えるならもう少し明るいことにしたほうがいいぞ

ガラム

長生きするに越したことはない。一〇〇年生きる毎に魔王城から〝良い物〟が貰えるらしいしな

アシナ

あっ、聞いたことあります。長生きは三枚の得、ってやつですよね

ガラム

ああ。なにが三枚なのかはよくわからんが……なにせ一〇〇年だ。祝いの貨幣とかそんなところだろう

アシナ

いくらぐらいもらえるのかなー

ガラム

案外、三枚ぽっちの銅貨だったりしてな

アシナ

銅貨だなんて。ふふっ、子供のお小遣いじゃないですから!

ガラム

そうは言うが、相手はあの魔王城だぞ?

アシナ

…………

アシナ

お——

アシナ

お団子が買えてラッキー? ぐらいに思っといたほうがいいかもしんないですね……