少年ジャンプ
編集部内で存在感放つブロリーフィギュアと対面!

――話が変わるんですけど、アニメソングもお好きなんですよね。『ドラゴンボールZ』のエンディング「でてこい とびきりZENKAIパワー!」が大好きと伺うかがいました。

大好きな曲の一つだね。でもオリジナルレコーディングがなかなか聴けないんだよね。ヴァイナル(レコード)でもない限り。CDはあるけどボックスセットになっちゃってたりとか。買うけどね!ボックスで。

――担当者に言っておきます(笑)

それ以外で好きなのが『北斗の拳』の映画のKODOMO BANDの曲。テーマソングじゃなくて挿入歌で使われてるはずなんだけど…。あとは『鬼滅の刃』のLiSAの「紅蓮華」や、『呪術廻戦』のオープニング。ジャズフュージョンの雰囲気があって。
 アニメはいい音楽を使うのが大事だと思う。アニメのクオリティーがそこに出てくるからね。音楽が感覚的にしっくりこないと、漫画と音楽のバラバラ感が出る。音楽を見れば、どれだけそのアニメを大事に作っているかがわかるんだ。僕がいいなと思うのは『SamuraiX』(※『るろうに剣心』の英語タイトル)… 最高。『ドラゴンボールZ』もアニメソングの最高傑作のひとつ。アニメが長くなってくると、曲が多くなってきて判断がしづらいんだけどね。最近だと『呪術廻戦』はやっぱり音楽にすごい力を入れているのがわかる。

――以前、渡辺信一郎さんのアニメ『キャロル&チューズデイ』に楽曲を提供されてましたよね。あなたがもしジャンプの作品に楽曲を提供するとしたら、まずどういうふうに作られますか?

僕はソングライターだけど、普段音楽を作っていてもなんとなく映像が頭に浮かんでいるんだよね。そうDNAに刻まれてるというか。特にいつもと違う複雑なことをやらなきゃいけないわけじゃないかな。一番大事なのは合うかどうか、フィットするかどうかかな。
 少しあいまいな話だけど、ソングライターとしての僕はハタから見たらちょっと変わった立ち位置にいると思うから。本当に純粋なところで結びついてるっていう感覚が欲しいんだよね。『Yasuke -ヤスケ-』(Netflix オリジナルアニメ)はすごくストーリーに音楽がマッチしてたでしょ。
フライング・ロータスと僕が一緒に音楽をやっているんだけど、音楽と映像のいい結合(marriage)になっていたと思う。
ああいうのがひとつの良い例かな。

――ありがとうございます。また話は変わるんですが、以前のインタビューで、ジャコ・パストリアス*4 がベースという楽器の可能性をアップデートしたという話を語っていました。それを読んで、『ドラゴンボール』も、それ以後の漫画の絵をアップデートした存在だと感じたのですが…。

僕もそう思う。

――ジャンルは違えど似た部分があるのかなと。楽器と、絵を描くことで、似ていると思うことはありますか? 技術を進化させるという面で。

そうだね!似てると思う!イラストについて僕の知っていることは、「上手くなるにはものすごく辛く、辛抱が必要な、内面を掘下げるような作業が必要」ということ。
これは音楽で常に僕らが経験することだからね。
 でもイラストのほうがより複雑だなと感じるのは、伝えたいことや語りたいことを一枚の絵に表現しなきゃいけないこと。僕にとっては音楽以上に大変だと思う。でも成長するには時間かけてやっていくしかないよね。

――さらに楽器の話を聞かせてください。他で見たことがないバンドの編成で、見たことのないプレーをされていると思うんですが、ご自身で、誰も見たことのないものを切り拓いていこうという意識はあるのですか?

全然ない(笑)。ちょうどフライング・ロータスと若い頃に話したことを思い出したんだけど、彼はいつも「何かを変たい」と言ってた。

――それは 環境や世界を?

音楽的な意味だね。ハリウッド育ちだから、周りではみんな誰がトップに立つかということに熱中していて、常にいろんな違うものが出てくる。だけど、もっとハートとか魂を込めて音楽を作るやり方ってあるはずだよね、っていつも二人で話してて。
SA -R A C r e a t i v e P a r t n e r s (ロサンゼルスの音楽プロデューサー集団)とか、僕の周りには似たような考え方の友達が多かったので、「何かを変えたい」「何か新しいものを作りたい」と常に思ってた。ケンドリック・ラマーと一緒に仕事をする頃もそう思ってたんだけど…ケンドリック・ラマーってケンシロウみたいな人なんだよ。彼が何か言うたびに周りが「おお~!」って沸く。今となっては昔の話だし、自分がどういうことに関わっているのかその時はわかってなかったけど、振り返ってみれば世界を変えるような場所にいたんだな~って思うよ。

――ちなみにキャリアスタートは16歳で加入したスイサイダル・テンデンシーズ*5 ですよね。ジャズをやられていた環境からすごくハードコアなバンドに加入されていますが…

それもずっと、色んなものを組み合わせるのが良いと思ってたからだね。いくつかの現場では「レコード通りに弾いて」っていう仕事もあったけど、僕はそういう教わり方をしていない。ジャコ・パストリアスとかウェイン・ショーター(アメリカの重鎮ジャズ・サックス奏者)を聞いて育っているから、とにかく個性、自分らしさ、っていうことを学んできた人間なんだ。
 そして同じように、マイク・ミューア(スイサイダル・テンデンシーズの中心メンバー)もやっぱり個性を出せっていうことを言ってくれた。僕がソロを弾いてるとあの人ステージを降りるんだよ(笑)「どうぞ続けて」って感じで。

――「少年ジャンプ」も人と違う個性を誌面でアピールしないと生き残れないので、そこも音楽と漫画の似た部分ですね!

Yes!

秘蔵のジャンプアーカイブにも熱い視線!

――最後に「少年ジャンプ」の読者に何かメッセージをいただけますか?

読み続けろ、買い続けろ、読み続けろ(KEEP reading, KEEP buying, and KEEP reading.)。そしてコミックブックで家をいっぱいにしろ。その上で寝ろ。

――編集部としてもとてもありがたいメッセージです(笑)インタビューは以上になります!ここにあるグッズはプレゼントできます、お邪魔じゃなければ。

“アリガトウゴザイマス” !!

――『とんかつDJ』のアニメのサウンドトラックCDもプレゼントします!


  • *1 Flying Lotusフライング・ロータス 2010年代最重要プロデューサーにして、サンダーキャットにソロで歌う事を勧めた張本人。イケてる音源にだいたい関わっている凄い人。
  • *2 Kendrick Lamarケンドリック・ラマー 現代の世界最強ラッパー。ケンシロウ並のカリスマに加えトラックも最高!マーベル好きには『ブラックパンサー』の音楽としても。
  • *3 Mac Millerマック・ミラー 26歳の若さで急逝した、サンダーキャットの盟友。二人が共演した「Tiny Desk Concert」が素晴らしいので、是非YouTubeで見てほしい!
  • *4 Jaco Pastoriusジャコ・パストリアス ベースという楽器の定義を変えた伝説のベーシスト。まずは1stアルバムから聴こう!スタンド名でおなじみのウェザー・リポートにも在籍。
  • *5 Mike Muirマイク・ミューア(スイサイダル・テンデンシーズ Suicidal Tendencies) スケーターファッションに身を包む西海岸ハードコアパンクの重鎮。よりファンキーな別プロジェクトInfectious Groovesも激オススメ。
  • Drunk(2017) 衝撃的なジャケットと共に、サンダーキャットを世界的存在へと押し上げた出世作。超絶テクのフュージョンと、ヒップホップのクールさを、優しい歌声で包み込んだような名盤。リードトラックの「Them Changes」はYouTubeで見る事ができるアリアナ・グランデとの共演も、楽曲自体の良さが際立っていて最高です。
  • It Is What It Is (2020) 盟友マック・ミラーの死を受け止めたサンダーキャットの最新アルバム。前作に引き続き、全部の素材が強烈なのに、曲がいいからさらりと聴ける驚異のバランス。同郷LAのガールズバンドHaimらと共演したMVも 最高な「Dragonball Durag」等、名曲揃い!来日ツアーで聴いた「I Love Louis Cole」の怒涛の音の洪水は昇天ものでした…
  • Yasuke -ヤスケ-(2021)/フライング・ロータス ラション・トーマスが監督、MAPPAが制作を担当した時代劇アニメ『Yasuke』のサントラ。作品に寄り添った正真正銘のアニメ劇伴だが、和の音色・音階と、フライロー的なシンセやビートが合わさり、音源としても出色。その随所で歌とベースのサンダーキャット節がびしびし感じられるぞ!